ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
ボタンの付け直しを終え、椅子に腰を下ろし書類の整理を始める拓真さんに上着を返した。


「できました」

「サンキュー」

「ずっと忙しかった淡路さんから仕事の引継ぎして貰えそうです」

「そう、良かったな」

「はい、これで副社長のお役にも立てそうです」

今の私は秘書として不十分、拓真さんの片腕にはなれていない。

「季実子も急な異動で忙しかったんだな」


彼が淡路さんを季実子と呼ぶ度に胸が締まる。


元はと言えば、私が入社したから淡路さんは異動した。

彼女に意地悪をされて当然なのかもしれない。

「私のせいで、淡路さんは異動したんでしたね」

「それはそうなんだけどね・・・」


拓真さんも否定しなかった。


「この書類、社長に渡してきて」


拓真さんは私に書類を渡した。


「承知しました」


私は社長室に向かう。



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