ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
私は拓真さんに言われた通り、ダイヤモンドホテル東京・ベイのロビーで待つ。

ホテルのロビーは吹き抜けで、上まで硝子が続く。

昼間は眩い光が硝子に反射して踊っているが、今の時刻は19時、外は夜のビロードが降り、ロビーは仄暗かった。

でも、辺りは上品な雰囲気に包まれている。


「待ったか?」

拓真さんが少しだけ遅れて私の前に来た。

右手にブリーフケースを持ち、会社帰りの出で立ち。


「無断で休んで申し訳有りません。濱部副社長」


「俺が風邪だと言っておいた・・・無断欠勤にはなってないから、安心しろっ。小陽」


「副社長…」


仄明るい中で見る拓真さんの姿は貴公子のように素敵に映る。豪華な空間の中に馴染んでしまう彼もまた御曹司。


「行くぞ」


「はい」


二人で厚みのあるカーペットの上を歩いて、エレベーターホールに向かう。






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