ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
拓真さんと私は同じコース料理を堪能していく。


社内なら饒舌に話す拓真さんだけど。

今は緘黙に料理を口に運び、時折、ワインを煽る。


「あの…私・・・」

「退職届は受理しないから・・・」

「えっ!?だって…無断で・・・」

「そんなのは水に流す・・・」

「でも・・・私・・・」


私はナイフとフォークをテーブルに戻し、膝元に両手をおいて、スカートの生地をギュッと掴んだ。


「俺が嫌いなのはわかるけど・・・
退職されるのは困るつーか・・・親父が物凄く気にしているんだ。元総理との関係の悪化を」


「お父様との関係?」


「1週間やそこらで退職されちゃうと・・・元総理も何かあったんだと勘繰りじゃん」


「でも、副社長とお仕事するのは・・・」


きっとまた・・・季実子さんとのキスシーンとか見ちゃうかもしれないし、二人がいちゃつくのは見たくない。


「そこを何とか…仕事だと割り切って・・・ね」


拓真さんは私を懸命に説得する。

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