ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
お母様はテーブルの上に、都内のあらゆる有名ホテルのウエディングプランのパンフレットを置いた。


「準備期間は1ヵ月だから…家族だけの結婚披露宴でいいかしら?どう思います?濱部社長」

「家族だけと言うのは・・・こちらとしましては、政治家の名家のお嬢様を頂く立場ですので、キチンとした挙式披露宴を行いたいと考えております」


「そうなの?」


お母様は昔から、政治家の名家・伊集院家に嫁いだ自覚がない。

「敦司さんはどう思う?」

「・・・」


お父様は黙って、足を組んでお茶を啜るだけ。


「敦司さん…現実逃避は良くないですよ」


「私は何も・・・」

「じゃ具体的な意見を教えてください」


「・・・我が伊集院家は濱部社長の仰る通り政治家の名家だ。本家も元々、嫡男である私が継ぐはずだった。
その私の娘を濱部家に嫁がせる。挙式はともかく、披露宴も家族だけでは納得できない」







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