幼なじみの恋煩い
その夜の事だった。
俺は晩飯を食い終わり、眠い目を擦りながら古文の勉強をしていた。
やっべぇ、全然頭に入らねぇ……。
かといって、今寝るにはちょっと早いな。

自分の部屋の時計を見ると、
まだ8時。

楓佳、今、何してんだろ……。
部活で帰ってくんの遅かったし、疲れてるだろうな。

なんとなく会いたくなって楓佳のいる隣の部屋に足を進めた。




「楓佳、入るぞ」

一緒に住んでいるとはいえ、俺も男だから楓佳の部屋のドアをノックしてみる。
けれど、楓佳の返事は聞こえない。
もう一度ノックしたけど、やっぱり声は聞こえなかった。
そのままドアを開けてみると、
目に入るのは机の上に突っ伏している楓佳の姿。

楓佳に近寄ってみると、寝息が聞こえてくる。
よっぽど疲れたんだろうな。
楓佳の寝顔を見ると、口元には微笑み。
なんか、楽しい夢でも見てんのかな。

ふっと俺まで笑ってしまっているのが分かる。
流石に風邪を引いては困ると、ベッドに置いてあるパーカーを楓佳の背中に掛けてやる。

睫毛が長くて、色白な肌。
薄ピンクの唇。
化粧をしてなくて、だからこそ素朴な感じが可愛いくて。
他の女より、美人なんだってよくわかる。


< 11 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop