幼なじみの恋煩い
目元まで落ちてきてしまっている
肩まである楓佳の髪を耳に掛けてやる。

かっこよくなくていい。
ただ自然に堂々とこいつに気持ちを伝えられたらどれだけ楽なんだろうな。

楓佳から目を逸らした時に目に入ったのは楓佳の日記。
少しだけ……、見ても良いよな。

そっと今日の日記のページを開いてみた。

『今日は結局部活だった。部長が伝え間違えちゃったみたいで、
私に必死に謝っている姿がちょっと可愛かったなぁ。
でも、雪斗が少し機嫌悪く見えたのは気のせいかな?
晩ご飯の時に話し掛けたら、いつも通りだったから怒ってはいないと思うけど……』

やっぱり気づいてねぇ……。
鈍感すぎだっつぅの。
てか、部長が可愛いって。沙々倉先輩が好きなのか?

少しショックを感じつつ、昨日のページを開いてみる。

『今日も明日も部活休み! 雪斗とは一緒に帰れるけど、
部長に会えないのは寂しい……。ダンスするのも疲れるけど、楽しいからなぁ
まあ、皆程踊れないんだけど』

そこで、俺の疑問は確信に変わった。
楓佳は沙々倉先輩に恋愛感情を抱いてるという事。
日記のページを閉じて、元の場所に置く。
自然と手に力が入っているのが分かる。

「負けてらんねぇ……」

俺の小さな呟きは自分の頭の中だけで響いた。
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