幼なじみの恋煩い
それから数日経った日のランチタイム。
俺は楓佳と屋上で弁当を食っていた。

楓佳と昼に飯を食うなんて、入学してからは全く無くて
なんとなく新鮮。
しかも、俺から誘ったものだから楓佳の方も驚いていた。

「んんっ、今日もいい天気だね」

何気なく言う彼女に「おう」と返事する。
屋上の壁に二人して背中を預けている姿。
カップルのようで、少しだけくすぐったい。
それを誤魔化すように玉子焼きに手をつけた。

「……旨いな。玉子焼き」

「うん。お母さん、料理上手だよね! 私も作れるけどね。
お母さん程上手くはできないよ」

困ったように微笑む楓佳。
そんな楓佳に「じゃあさ」と話を振ってみた。

「弁当は楓佳作ってくんね?」

「え……? 別にいいけど……」

「じゃ、約束」

そう言って小指を出す俺。
楓佳はわけが分からないと言いたげに首を傾げた。

「指切り」

「あ……」

「ゆびきりげんまん嘘ついたら針千本飲~ます」

二人で指切りに定番の歌を歌う。

「ゆーびきった」

指が離れると、楓佳は愉悦の混ざった笑みを俺に向けた。
それに俺も小さく笑いを返した。

「いいよね。こういうのも。姉弟みたいで……」

けれど、
その言葉にうんともすんとも言えなかった。
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