幼なじみの恋煩い
「楓佳と雪斗君、付き合ってるって。
まあ、雪斗君、入学してすぐに人気になったみたいだし、あんたも結構目立ってるのよ?」

「そう……なんだ」

「まあ、雪斗君と過ごすことが多くなったから余計よね。
ほら、昼だって一緒に弁当食べてるじゃん? 何の風の吹き回しかな」

「私にも分かんない……。ただ……、雪斗から誘ってきたから
それにお弁当も作って、ってお願いされたし……」

私がそう言うと、鈴南ちゃんは
何を思ったか興味深そうに「へぇ……」と呟いた。
私にはそれがどうしてか分からなくて、
また首を傾げた。

「あんたもほんっとに鈍感だよね」

「へ?」

「ううん、なんでもない」

「鈍感って何?」って聞こうとしたけど、
鈴南ちゃんは先立って「あんたは、沙々倉先輩が好きなんでしょ?」
と聞いてきた。

「うん。勿論っ」

「頑張りなね。応援してるよ。あんたの恋愛」

「ありがとう」

私が部長を好きだって事を
唯一知っている理解者である鈴南ちゃん。
支えてもらってばっかりな私だけど、
友達が少なくても鈴南ちゃんとだけは
ずっと友達でいたいと思えた。

私が雪斗の気持ちに気づくのは、まだ先の話。
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