幼なじみの恋煩い
ドアを開けると清々しい太陽の光が
空から浴びせられている。
けれど、暑いわけでもなくて。
暑がりな俺にはちょうどいい気温だ。

鞄を肩に置くようにぶら下げて、足を進めていく。

「ちょっと、雪斗! 歩くの早いよ……」

「んぁ? お前が遅いだけなんじゃねぇの」

そう言って、急ぎ足で歩く楓佳を頭から足まで見ていく。

足は短くて、
身長も低い楓佳。

この体型じゃ、俺の歩幅に合わせるには無理があるよな。
それに気づくと、俺は歩調を緩めてく。

正直のところ、俺は楓佳を姉としてではなく、
一人の女として見ている。
楓佳を男として守ってやりたい。
何より、楓佳に弟ではなく頼れる男として見てほしい。

楓佳はそんな俺の気持ちになんざ、これっぽっちも
気づいてねぇけど。
まあ、気持ちを一回も伝えていない俺も俺、か。

「な、何?」

「……いや、何でもねぇよ」

少し見つめすぎていただろうか。
隣を歩いている楓佳は俺を見て、首を傾げていた。

「そう? 具合とか悪かったらいいなよ?」

「おう」

やっぱり、口で言わなきゃ伝わらねぇもんだよな。
少し切なくなりながらも、楓佳から視線を反らした。

楓佳と駄弁りながら歩いていたからか、学校に着くのはそう遅くもなかった。
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