幼なじみの恋煩い
「──おい……おい……っ!」

「あ? 何だよ……」

楓佳と別れてから、教室で準備を終えてぼーっとしていると、
俺の座っている机に顎を乗っけている悠介がいた。
こいつとは中2の頃から、クラスが同じになることが多くて、
高校も同じ所に受験した。

「俺が必死に呼び掛けてんのに、気付いてくんないって、マジどうなんだよ?」

「あー、はいはい、すみませんね」

本気で謝っているわけでもなく、
適当に悠介を軽くあしらっておけば、
頭をぼりぼりと掻く。

「んで? 楓佳先輩とはどうなんだ?」

俺がぼーっとしている間に、
こいつはそんな事を聞いていたのか。
今一番悩んでいる事を聞かれて、俺は大きな溜め息を吐く。

「どうもこうもねぇよ」

悠介は俺が楓佳を好きだって事を知っている。
だから、会う度にこんな質問をしてくる。
いつもならこの返答で済むんだが、
今日はいつにも増してウザかった。

「ふぅん……、のわりにはテンション低くないか?」

「いつもこんなんだろ」

いや、確かに悠介の言うとおり、テンションは低い。
どうにも厄介な事に悠介には隠し事は出来ないようだ。

「もしかして気持ち伝えたとか?」

「んなわけあるか」
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