最後の夢
『恋がしたい…』
いい歳をして何故そんな事を思いだしたのか。

私は冷めていた。小さい頃からずっと。
そりゃ、好きな男の子もいたし、好きなアイドルの男の子もいたが、
コンサートに行ったり、まして、『追っかけ』なんて全然興味が無かった。

大人になっても、回りの同僚の『韓流ブーム』や『ジャニーズにはまるお姉さま』など、まるで解らなかった。
もちろん、それが良いとか悪いとかではなく、いや、むしろ、そんなふうに夢中になれるものがある人が、羨ましかったくらいだ。

社会人になり、会社で働き出して、いつの間にか30年が経っていた。
いや、嘘。『いつの間にか』なんて事はない。そう、だって、色々あったもの。
時はバブルの真っ只中!キラキラした時代の中で、人生で忘れ得ぬ大切な『恋』を幾つかこの身に刻んできた。


そして、運命的な出逢いをして、『結婚』
この愛はずっとお互いに褪せることなく続くのだと信じ、誓った。
やがて、子を授かり、母になり、脇目も降らず、ただ、一生懸命生きてきた。

まだ若い頃の私は、人は親になり、歳を取れば、人に焦がれるような激しい気持ちは失していくのだと思っていた。
その代わり、穏やかに、今目の前にある掛けがえの無い大切なものを、優しく愛でていくようになるのだと。

でも、時は残酷で、いつ頃からだろう。女の終わりを意識し初めたのは…。
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