モラハラ男と親友が別れるまで
「他にもまだあってね」

「まだあんの!?」



ついつい声を荒げてしまう。
まだあるのか、そうか。
そんな男のどこがいいんだろうか。そのことしか頭にない。


恋は盲目というが、客観的に見て晴夫は良い男とは言えなかった。



「ゲームで知り合った男の人がいるんだけど、その人とゲームでやり取りしてたら怒られた」

「…なんで?」

「他の男と話すなってさ。自分は他の女と話してるくせに、わたしにはそんなこと言うんだよ」

「自己中すぎない?個人的には別れた方がいいと…うーん…」



脱力して椅子に深く座り直す。
別れた方がいい、言うのは簡単だけど私はそこまで深く晴夫のことを知ってるわけじゃないし。恐らく晴夫にも良い所があるのだろう。


晴夫の話を未来からしか聞いたことがないし、それも全部マイナスな面しか聞いていない。


そんな私が別れろというのは、違う。分かってはいるが…。



「はぁ…」



ため息を吐く親友は、楽しそうに見えない。
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