友情と恋愛と。
* * *伏井 桜咲side* * *





朝、起きると私が一番最後だった。


「桜咲ちゃん!早く準備して!!」


紫花にそう言われて今日、紫花についていくことを思い出した。


「桜咲、私の分もよろしく」


蘭にそう言われた。


蘭はこのあとバイトがあるらしい。


「任せて!!二人とも今日の夜もこれる?」


「うん」


「夜なら空いてる」


私は二人の返事を聞いてニヤリと笑う。


「じゃあ19時くらいに集合ね!!」


そう言って蘭と別れ、急いで着替えた私は紫花と一緒に誰だっけ.....無(なし)くん?の元へ向かう。



「おーい!!紫花!!」


と、走ってくる男子がいる。


きっとあれが例のヤツだろう。


するとそいつが私に気付く。


「紫花...そいつ...誰?」


どうやら私のことを男だと判断したのだろう。


口が悪いし、失礼なやつ。


やっぱりこいつは許せない。


私が小学校の頃一番嫌いだったやつに似てる。


確か名前は....無神 峡。


ん?...似てるんじゃない。


こいつだ。


そのことがわかった以上黙って見ている訳にはいかない。


「お前、今日だけは仕方ないけど。今後一切紫花に近付くな。泣かしたらてめぇの家に行ってやるお前、無神 峡だろ?」


私は今までで、一番低い声を出した。


「誰、お前?関係ねーじゃん」


「覚えてないのなら光栄です。私も、忘れていましたから。」


私は不気味なくらいの満面の笑みでそう言い返す。


これできっとあいつは思い出すだろう。


あいつにとっての悪夢を。


「じゃあ紫花!また後でね!!」


「おい峡。19時には私に紫花を返せよ?」


私がそう言うとあの悪夢を思い出したのだろう。


あいつの肩が一瞬ビクッとなった。
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