友情と恋愛と。
* * *伏井 桜咲side* * *





紫花を騙すようで悪いが私はさっきのふたりのやり取りを見ていた。


やっぱり止めるべきだったかな...。


私は後悔する。


そして、満面の笑みで私は峡たち、男子軍の元へ向かう。


「楽しそうですねぇ?私も混ぜてくれない?峡、さっき私なんて言ったかな?」


私が帰ったとでも思っていたのだろう。


あいにく君の選択した場所が悪かったね。


すぐそこに私のバイト先がある。


「なんか答えたら?全部見てたに決まってんじゃん。私、小学校の頃も言ったよな?」


私はそう言いながら周りのヤツらにもガンを飛ばす。


すると冷やかしたりしていた声が一気に止まる。


「騙されるあいつが悪ぃじゃん?wもうお前なんか怖くねぇよw」


開き直った峡が言ってくる。


でも残念。声が震えていますよ?


私は笑顔で続ける。


「私に勝てる気でいるの?ひとりじゃ逃げるくせに?」


「男が女に負ける訳ねぇだろ?」


そう言って笑っている。


まぁ、反省しないなら


「またボッコボコにしてやるよ」


私の両親は不良。


喧嘩なら小さい時から教えこまれた。


だから得意な事で負ける訳にはいかない。


私の目つきが変わったのだろう。


峡は腰が引けている。


それでよくあんなセリフが出てきたものだ。


ーガシッ


そんなことを考えていたら後ろから突然両腕を捕まれる。


二人係か。ダセェーな。女相手に。


前を向くと峡が勝ち誇った顔をしている。


「こんなので勝てると思ってんだ」


やっぱり人気のないところに来てよかった。


私は膝を曲げ一気に姿勢を低くする。


その拍子に二人はバランスを崩し、力が弱くなる。


これで私は自由だ。


喧嘩を始める前に...


ープルル


ーガチャッ


『桜咲?どうした?』


「信一、迎えに来て。来たら私のこと止めてね」


『はっ!?お前また喧嘩してんの!?』


「ってことでよろしく」


そう言って私は電話を切る。


多分このままじゃ私は暴走するだろう。


だから私は信一を呼ぶ。


信一は私を落ち着かせるのが得意だ。


「じゃあ始めようか峡。今更にげるとかないよね」


「そんなダッセーことするかよ。やるぞお前ら」


ひとりじゃ何も出来ないところでダサいけどな。


そして、峡は運動音痴。逃げるにも逃げられないだろう。





十数分後、信一が来た。


「俺、遅かった?とりあえず桜咲、ストップ」


そう言って信一は、私の両肩に手を置き捕まえる。


そのころ峡たちはもうボロボロになっていた。


私は若干やりすぎたかもしれないがやっぱり友達を騙した恨みは晴れない。だが


「はいはい。ストップ。言い残したことは?」


と言って信一は私を私のバイト先に連れ戻そうとしている。


峡たちは何も言わない。私は


「次、私の友達に手を出したら本当に命はないと思え。あとお前、自分が思ってるほどかっこよくねぇよ?」


そう言って半ば強引に信一に引きずられてバイト先へと戻る。


信一の手を触りながら。


信一の手はなんだか落ち着く。


「いきなり呼び出してすいませんねー。あと今日涼太、平次、羚連れて私の家集合ね!!」


「はいはい。その前に1箇所怪我してるから絆創膏。」


そう言って私に絆創膏を求めてくる。


「はい。」


自分じゃどこかわからない。痛くもない。


ーペタッ


「はい。」


どうやら頬だったらしい。


いつも通りのこのやりとり。


冷やかされることもあるけど、私たちからしたらなんでもない。


「ありがとー。」


「落ち着いたな。じゃあ夜な。」


そう言って信一は帰っていく。


ー〜♪


信一の後ろ姿を見ていたら着信音がなった。


紫花の姉さんだ。


用件はわかっているから読まずにメールを返す。


《男に騙された。相手はボコボコにしておきました!!》
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