友情と恋愛と。
* * *雷澄 信一side* * *





「蘭ちゃんはなんで羚ちゃんのこと好きなの~?」


俺たちが桜咲の家の前についた途端、中から声が聞こえてきた。


やっべー。これ聞いちゃいけないやつ。


俺は羚の方を振り返る。


幸い羚には聞こえてなかったみたいだ。多分平次と涼太にも。


聞こえたのは俺だけか。


「涼太~。羚くすぐってこい。」


俺がそう言うと涼太はすぐに羚をくすぐりに行く。


すると予想通りあいつらは暴れだした。


これで中の話は聞こえないだろう。


...平次は聞こえても口が堅いし平気。


とりあえず今のうちに桜咲と連絡を取る。


すると途中で桜咲たちの話が変わり夕飯の話になる。


夕飯の話にする所が桜咲らしい。と思っているとすぐに


《入ってきていいよー!鍵あいてる!》


ときたので、やりあってる2人に声をかけ、中に入る。


「「「「おじゃましまーす」」」」


俺たちが家に入ると東海崎と青﨑が驚いている。


桜咲はそれを見て楽しそうに笑っていた。


あいつ、俺たちが来ることを言ってなかったんだな。


と、俺は確信する。


「桜咲~。何作るの?」


俺のその声に東海崎たちは我に返ったらしく、桜咲に小声で何かを言っている。


桜咲はそれを聞いて楽しそうに笑ってから俺に答える。


「決めてない!涼太、オムライス作ってくれない?」


「いいよー」


「材料は揃えといた!」


その言葉を聞いて俺はすぐに笑いながらツッコム。


「最初から作らせる気満々じゃん。てか、材料で作るもの決まってたんじゃん」


「あはっ、ばれたー?」


桜咲はそう言いながら笑う。


なんとなくまだ何かを企んでいる気がするのは気のせいだろうか。



涼太がオムライスを7人分作っている間、俺たちは手伝わずに遊び始める。


そしてなぜか桜咲はケチャップを手に持っている。


「みんなは?学校どう?」


東海崎の言葉にみんな会話を弾ませていく。


「普通~」


「楽しい~」


などなど。


そして、桜咲は途中、ケチャップを持って涼太の方へ行く。


ケチャップをオムライスに書いているみたいだ。



「7人分完成!」


涼太の声に俺たちは振り返る。


そして桜咲がテーブルの上にオムライスを並べていく。


並べられたオムライスを見ると名前が書いてある。


どうやら指定席らしい。


円状のテーブルの上に


【さき】
【すみれ】
【らん】
【れい】
【りょうた】
【へいじ】
【しんいち】


という順番で名前の書かれたオムライス。


東海崎と羚を隣にしたかったらしい。


「じゃあ自分のやつのところに座って~」


桜咲の声にみんな座り始める。


東海崎はポーカーフェイスで感情を隠すのがうまいらしい。


何事もないように座っている。


さすがだ。


「「「「「いただきまーす」」」」」


そんな感じで俺たちは夕食を食べ始めた。






< 20 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop