友情と恋愛と。

＊ ＊ ＊伏井 桜咲side＊ ＊ ＊





紫花の話を聞いて、信一はため息をついた。


そして


「はぁ....桜咲さっきの喧嘩はこれ?」


私は信一に抱きついたまま頷く。すると


「涼太。流石にもうやめとけ。相手が死ぬ。」


と信一は続けた。


信一の言葉にみんななんで?って顔をしている。


蘭はなんで?って顔をした後に言葉を続けた。


「え、もしかしてそんなにやったの?」


そう聞いてくる蘭の顔は心配そうだ。


私は答えずに信一の方を見る。


信一に意味が伝わったのだろう。


信一が私の代わりに答える。


「えっとー過去にもそいつと似たことがあったらしく、その怒りもつのり、桜咲キレたんだけど.....暴走するのわかってたらしく俺が呼ばれたんだが.....手遅れ。相手はもうボロボロ。」


説明し終えた信一の言葉に私は頷く。


そして涼太も頷く。


「あー。なるほど....桜咲の親って....不良だもんな」


私はその言葉に


「えへへ。ちょっとやりすぎちゃった!」


そう言って笑う。


「そのほっぺたの傷ってもしかしてその時の?」


蘭は本当に心配性。蘭の言葉に


｢えっ！？大丈夫！？ごめんね！？｣


と、紫花が謝ってくる。


「そうだよ!大丈夫！！これだけだから!相手が大人数だったからね」


私は得意気に答える。


「本当だよ!お前相手何人いたか覚えてんの?」


「え?信一覚えてるの?」


「10人くらいはいたぞ?」


「.....弱っ」


私は信一に人数を聞いて反射的にその言葉が出てきた。すると


「桜咲は女の子なんだよ?気をつけなきゃ!」


「桜咲、高校生になったんだ!男子の力をあまり甘く見ちゃダメです!!」


などなど....


蘭と信一に説教された。


「だってぇ〜!!あのままほっとけるわけないじゃん!!.....私だって考えてるもん!.....ちゃんと信一のことを呼ぶっていいつけも守ってるもん.....」


そう、信一は私を落ち着かせることが得意なだけでなく、このメンバーで唯一私よりも強い。


私はいじけながら信一の胸に顔をうずくめる。


「逃げ足だって....あいつより足速いもん....」


紫花のためにやったのに....蘭と信一に説教されたくないもん。


私の心配をしてくれているのはわかっているけれどー!


紫花にお礼言われたまま終わってくれればよかったのに。


それに信一は別に今じゃなくてもよかったじゃん!!


私がそう思っていると信一が頭をぽんぽんしてきた。


「だってお前がそれでピンチの時、俺がすぐに行けなかったらどうするの?」


「それは......信一いつも来てくれるもん.......でもごめんなさい」


確かに信一が来なかった場合は困るな。


そう思い、私は謝る。


今日は楽しみたいしこれ以上お説教されるのも嫌だしね。


謝った私を見て蘭はため息をつく。


「まぁでも今回は仕方ないか!桜咲は友達が1番大切だもんね」


蘭の私は頷く。


「あー、俺こいつのお世話係なんだから同じ高校にしとけばよかった...!」


と私の頭の上で叫ぶ信一。


私は信一を見上げていう。


「信一と涼太の学校から私の高校までそんなに距離ないじゃん!」


私が信一の言葉にツッコムとさっきまでの説教は終わりみんないつも通りふざけ始めた。


そして私は信一に抱きついている手に少し力を入れる。


すると信一がこっちを向いた。


「えへへ!心配かけてごめんね。ありがとう」


信一に小さな声でそう言うと笑ってくれた。