好きだなんて言ってあげない
上手い。
多分こんなに感じたことない。
やがて気を失うように眠りにつくまでずっと専務に翻弄され続けた。
シャワーを終えて、キッチンに戻ると2人がけのダイニングテーブルでコーヒーを飲みながらスマホを弄る専務。
「仕事?」
「いや、今日は休み。お前は?」
「休み」
自分用にコーヒーを入れて専務の向かい側に座る。専務がスマホをテーブルに置いた。
「ごめんなさい」
頭を下げる。
「何が?」
「無理矢理押し倒したこと」
専務がテーブルに右肘をつき、顎を手に乗せてじっと見詰めてきた。
視線が絡む。
謝っているのだから逸らすべきではないだろう。
「オレも拒まなかったし同罪やろ」
「いや、でもやっぱりわたしが悪いし」
「ええよ、少なくとも朝からもう1回と思うくらいお前抱き心地良かったから」
良かった。
専務は不快ではなかったのだ、心の伴わないものでも。
「事故にあったとでも思って忘れて」
部屋の空気がピンッと張り詰めた、ような気がする。
「事故・・・・・?」