好きだなんて言ってあげない
「・・・・・大人やし、一回やったからって彼女ヅラをするつもりもないから」
「・・・・・ふぅん」
専務が目を眇めてこちらを見た。
「せ・・・・・」
テーブルの向こうから長い腕が伸びてきて頤を掴まれ上を向かされる。
「ほんなら時々抱かせてよ、オレお前の身体が気に入ったから」
「・・・・・・・・・・セフレってこと?」
「そう、大人同士割り切って」
専務の口から出てくる言葉が信じられないと思う。それでもキッカケを作ってしまったのはわたしだ。
簡単に寝る女と思われてしまってもしょうがない。
ひょっとしたら専務は報われない恋をわたしで発散したいのかもしれない。
頷けばきっと都合のいい時に抱ける女になってしまう。
わかっていながら、何故か首を縦に動かしてしまっていた。