好きだなんて言ってあげない
鈍い痛み
こまりが1週間の休みを経て銀行に戻ってきた。時折笑顔を見せるけれど、顔色は白く、また痩せてしまっていた。
お昼を一緒にしても申し訳程度にしか箸をつけない。
ダメだ。
痛々し過ぎて。
遠くない未来、こまりはきっと倒れる。
『このままだとこまりが死ぬ。なんとかしなさいよ!』
怒りに任せてボストンにメールを打った。
次の日の朝、出勤前にスマホが震えてメッセージが届いたことを告げる。それはボストンからではなく専務から。
『今晩19時 梅田Hホテル』
早速セフレとしての呼び出し。用件のみの素っ気ないメッセージ。
『了解』
こちらも負けずに簡潔に返す。
専務と一緒にいるのはいやじゃなかった。それどころか楽しかった。
憎まれ口や皮肉も言うけれど、お金もステイタスもあって、知的でスマートでお洒落で、矢口が見たら直ぐにロックオンしそうな御曹司。
そんな彼をセフレにしてしまったのはわたし。