好きだなんて言ってあげない
セフレーーー気楽でいい、そう思うことにする。
一時の快楽を得るために利用する男があのスペックなんて贅沢過ぎるだろう。
心の片隅が鈍く痛むのは道徳的に褒められたことではないという罪悪感だ。
きっとーーーーー。
シャワーを浴びて肌を簡単に整えてバスローブを纏って出ていくと、丁度ルームサービスが届いたところだった。
「待ってるし、先にシャワーしたら?」
「せやな」
専務がバスルームに入るのを見届けて、ため息をおとす。テーブルにはチーズの盛り合わせとサンドイッチ。クーラーには高そうなワイン。
見るともなしにベッドに座りテレビをつけてぼんやりしていたらしい、気が付くとバスローブの合わせ目から入れられた大きな手に胸を触られていた。
「下着・・・・・つけてない?」
「ヤリに来たのに、シャワーの後にまたきっちりつけてたら無粋やない?」
「・・・・・身も蓋もあらへんな」
すいっと専務が離れていき、ワインを開ける音がし、グラスに注いで持って来てくれる。
軽くグラスを合わせて口をつけると、鼻先をワインのフルーティな香りがかすめた。
「美味しい・・・・・」
「そら良かった」
暫く言葉もなく2人でワインを飲む。
「来週末、朔が帰ってくる。山岸のとこの旅館に部屋取ってるし小娘とお前も来い」