好きだなんて言ってあげない
大阪 Revenge Night
殴ってやりたい。
胸倉を掴んで、揺さぶって、こまりに土下座させてやりたかった。
窓口にこまりと横並びで座り、愛想を振りまく矢口。美人だと評される顔も、その性格ややり口を知っているわたしには色褪せて見える。
あの日以来、仕事で忙しいのか専務の呼び出しはない。
こまりのために矢口に仕返しをしてくれるという専務。いったいどうやって・・・・・?
胸がつかえるような感じが、あの肌を初めて合わせた日から消えない。心の隅っこの鈍い痛みが消えない。
「あああぁ〜っもうっ!イライラする!」
社員食堂でうどんを啜りながら頭を掻き毟る。
「メガネ曇ってますよ、杉浦さん」
目の前に座る山岸にしれっと指摘されてメガネを外してハンカチで拭いてテーブルに突っ伏した。
「杉浦さん、お疲れですか?」
山岸の隣でお弁当を広げる佐野さんが心配そうに声をかけてくれる。
「お疲れ・・・・・やないかな。なんかよくわからへん」
最近、山岸とよく一緒にいるのを見かける。2人並んでいるとお似合いだ。
「合コンでも・・・・・行こうかなー・・・・・」
「杉浦さん、素敵なカレシいるやないですか」
「はあ?」
「え?専務さん、カレシですよね?」