好きだなんて言ってあげない
拒絶されないのをいいことに何度も角度を変えながら口付ける。
きっとわたしの気が済むまで好きにさせてくれる。キスを止めて専務の手を引いて部屋に入り、エアコンのスイッチを押した。
専務の上着を脱がせ、ワイシャツのボタンを外して脱がせる。自分のワンピースのファスナーを外して床に落とし、パンストも脱いで黒のキャミソール一枚で専務をベッドに押し倒した。
セックスには淡白な方だと思う。
就職してから全くしていないし、それで不自由も無かった。
「抱かせて」
きっと顔は涙でぐしゃぐしゃだろう。
汗だってかいてる。
専務の気持ちのベクトルがどこに向いているのかも分かっている。
でも今、独りは嫌だ。
縋れる温もりが欲しい。
シャワーを浴びる時間さえ惜しいくらいに。
押し倒した専務の身体に跨り、またキスを落とす。首筋、鎖骨、順番に唇をつける。
「・・・・・ヘタクソ」
頭の上からかけられた言葉に思わず苦笑した。
「ごめん、我慢して・・・・・?」
フッと専務が笑う。
「悪いけど無理」
そう言うとベッドの上に引き倒されて上からのしかかられた。声をあげる間もなく、キャミソールを引き下げられて噛み付くように胸に口をつけられる。
大きな手で身体中を探られ、撫でられ、痺れるような快感が何度も頭の先から爪先まで駆け抜けた。