【短】手作りじゃなくてごめんね?






「俺、知ってるんだ。
朝倉が料理できないの」




すすり泣く程度に落ち着いた私を椅子に座らせてから、しばらくした時、朝日がそう言った。


驚きを通り越して絶句した。



それから顔から火が噴きそうなくらい熱くなった。



朝日はそんな私をみてただ笑うだけ。


もう心臓がやばい。痛いくらいにバクバクいってる。





「1年の時、調理室の前を通った時に窓から見えたんだ。朝倉が一生懸命ジャガイモ剥いてるの」





それはシチューを作る実習だった時だ。


あまりにも危なっかしい手つきでやっていたらしく、途中で先生に取り上げられたっけ。







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