【短】手作りじゃなくてごめんね?






「だから、なんで逃げんだよ」


「…………」


「黙ってちゃ分かんないだろ?」


「…………もん」




小さく呟いた言葉は聞こえなかったみたいで、聞き返される。




もう開き直るしかないのかもしれない。





「手作りじゃないの!市販のチョコなのっ。こんなの好きな人にあげられないもん。こんな、心のこもってない……チョコ……っあげられないの!」





分かれ、バカ!


好きな人に市販のチョコなんてダメでしょ。



理想はちゃんと手作りで綺麗にラッピングされてあるチョコをあげたかった。




こんなの受け取っても喜ばれない。




手を強く握って俯く。
そして涙を必死に引っ込める。



すると朝日の手が伸びてきた。









< 21 / 27 >

この作品をシェア

pagetop