【短】手作りじゃなくてごめんね?
真上から聞こえたような気がして、上を見るとやっぱりそこに朝日がいた。
意外と近い距離に小さく焦る。
「俺、朝倉の作ったチョコ食べてみたいから」
ダメか?なんて言ってきそうな勢いで首を傾げる彼に迷わず胸が高鳴る。
「べ、別に……」
「お!マジで!?やった!」
しまった!と思ったときにはもう既に朝日の姿は見えなくなっていた。
その場に残された私は、まるで抜け殻のようだ。
やっと出た言葉は虫の息ぐらいだった。
「……どうしよっ」
なにを私はやっているんだろう!
手作りチョコなんて人生で一度も作ったことないよ?
私、どうすんの。