素直の向こうがわ【after story】
ぱっちりと目が開く。
おかしいな、まだ目覚まし時計鳴ってないのに……。
そう思ってベッド脇にある時計に目をやる。
AM05:00――。
昨日の夜はお肌の調子を万全にしようといつもより早くベッドに入ったのに、全然寝付けなかった。
何度寝返りをうったか分からない。
部屋を暗しくしても羊を数えても全然眠気が来なくて。
仕方なく、大学の教科書の中でも一番面白くないものをチョイスしてベッドの中で開いてみた。
ただ面白くないだけで、眠くなんてならなかった。
それで諦めて、ただ布団の中でじっとしてた。
頻繁に時計を見ても、数分ずつ時間が流れて行くだけでどうにも出来なくて。
記憶にある最後に見た時間は、AM01:30――。
おそらくその後眠ったのだろう。
そんなに苦労して寝たのに、目覚ましより早く目を覚ましてどうすんの、私。
目覚ましが鳴る予定の時間まであと1時間もある。
でも、完全に目覚めてしまって二度寝も無理そうだった。
一限の授業がある朝は眠くて眠くて仕方ないっていうのに。
そうです。
今日は、河野がうちに来る日です。
はい、その通りです。
緊張して眠れませんでした。
楽しみにし過ぎて、ドキドキし過ぎて眠れませんでした。
河野の傍にまたいられるようになって早一年。
私はあれから、何も変われていません――。