素直の向こうがわ【after story】
「そう言えば、夕飯食べてなかったよね」
ということで、簡単な夕食を作ることにした。
時間も遅かったので、消化の良い野菜たっぷりうどんをぱぱっと作る。
「昼、来た時。その格好、やばかった」
ダイニングテーブルで待っているはずの河野の声が間近で聞こえて、驚きのあまりびくっと肩を上げた。
「……え? カッコ?」
私は自分の姿を見てみる。
ワンピースにエプロン。
「これって忍耐力試されてんのかな、とか」
「ば、ばかっ」
いやいや、ちょっと落ち着け、私。
河野の変貌ぶりに完全に付いて行けていません。
急に変わったのか、それとも、それだけこれまで抑えていたってことなのか?
そう思うと、余計に顔に熱が集まる。
あの無表情の下で、本当はいろいろ思っていてくれたのだろうか。
その抑制からの開放感からなのか、河野は一人ストレートな発言を繰り返す。
「はいはい。とにかく食べよう。のびちゃうから」
それとは正反対にあわあわと焦る私。