わたしのいちばんすきなひと。



音楽の音で聞き取りにくいけど


確かにわたしの名前が呼ばれた気がした。



イヤホンを取り、後ろを振り向く。





「翔くん…」

スーツ姿の翔くんだった。

飲み会の日以来、約1ヶ月ぶりの再会だった。




どうしてここにいるのだろうか。

あ、そういえば家近くだって言ってたっけ…



「散歩してんの?」


「あ、うん…翔くんは?」


「今日飲み会の予定で珍しくバスで出勤してたんだけど中止になって今帰ってきたところ。いつもは車なんだけどな。」


普段は車なんだ。

バスで行くの珍しくて、こうして会えるの…すごい奇跡なの…かな?



「「………。」」


お互い無言になって、わたしは下を向いた。


心臓の動きが早くなる。


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