わたしのいちばんすきなひと。
「莉子もう帰るの?」
沈黙を破ったのは翔くんだ。
「うん、雨…降りそうだからね。」
空はどんよりしている。
星は1つも出てない。
「そうだな…俺も傘持ってねーから降る前に帰らないとな。
……家こっちだったよな、帰ろうか。」
「うん…」
わたしは翔くんの少し後ろを歩く。
お互い何も話さない。
夜だからこの道も車も通らずにとっても静かだ。
少し後ろから翔くんの背中を眺める。
ドキドキと高鳴るわたしの鼓動。
落ち着け、わたし…
どうしちゃったの…
「あ…やべ…」
翔くんが立ち止まり空を見る。
雨が降り出した。