わたしのいちばんすきなひと。
そんなに強くは降ってないけど
ポツポツと降り出した雨。
「わたしの家もうすぐだから走ろ!」
わたしは後ろから無意識で翔くんの手をとり走り出した。
「え、ちょっ…莉子…」
翔くんと一緒に走りわたしのアパートに着く。
着いた瞬間大雨に変わった。
よかった、そんなに濡れなくて。
久しぶりに走って息切れする。
こんなに走ったのいつぶりだろう。
「莉子…あの…」
さっきから右手が温かい。
「……あ!ごめん!」
走り出す時、無意識で翔くんの手を自ら取り、繋いでいた。
久しぶりに感じた翔くんの手の温もり。
——『俺冬でも手あったかいこと多いんだ。
だからこれから寒い時はこうして俺が手握ってあっためてあげるよ。』