わたしのいちばんすきなひと。
忘れ物って…もう…
わたしはベランダに出て車に乗り込む翔くんを見る。
「仕事頑張ってね!」
わたしは翔くんに手を振る。
その手の薬指には結婚指輪がキラリと光っている。
あの日、わたしたちはもう一度付き合うことになった。
そして半年前、ついに結婚した。
部屋のリビングには結婚式の写真と結婚する前の写真と…
あのツーショットの写真が飾られている。
たくさん遠回りしたね、わたしたち。
——「もしかして俺の隣の席の子?
俺、片岡翔!よろしくな!」
小学六年生のとき、初めて翔くんに出会ったね。
そしてあなたにはじめて恋をした。
中学に上がったとき、あなたは何も言わずに引っ越してしまった。
初めて失恋を経験した。