アダムとイブ ~聖なる血~
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「そして、ガラスの破片からミハエラを守ったってわけか。よく、うちの子を、守ってくれた。ありがとう。」
「俺にできることをしたまでだよ」
わたしの親友・ダニエルは肩をすくめて、わたしの父親のロバートに現場でおきたことを話していた。
わたしは、というと、現場のあのたくさんの人が死んでいる風景が目から離れなくて、吐き気がしているところだ。
唇をきつくかみ、家の中でパパとダニエルの帰りを待った。
二人の会話をとても聞いてられないから先に帰ってきた。
「…ただいま、ミハエラ。」
「パパ、おかえりなさい
どうだった?」
「手がかりはゼロだ。
あと、ダニエルにはもう遅いからかえってもらったぞ。」
「えっ、今日もとまってほしかったなぁ……」
「ミハエラ、ちょっとはあの子の気持ちも考えてやれよ」