アダムとイブ ~聖なる血~
パパはソファにどかっと座り込んで、テレビをつける。
「ダニエルとわたしはすごくいい関係なのよ。ご飯いる?」
「おう、もらうよ。……まぁ、ミハエラの気持ちもわかるが
あいつも男だ。そこらへんの配慮も忘れるなよってことだ。」
コーンスクエークが入った棚の奥からスパゲティの基をとるため、手をおしこむ。
いつもスパゲティの日は大好きな献立であるため、上機嫌だけれど
今日のスパゲティにノリは感じない。
パパのいう配慮の言葉が脳裏を駆け巡っている。
〟ダニエルは男〝
そんなルールなんてなきゃいいのに。この世に、男女っていう仕切りがそもそもいらない。
「……聞いているのか?」
「え、えぇ。つい考え事を…。
わたしは、大丈夫。ダニエルのことはもう言わないで」
スパゲティの基の袋を強引に開けて、茹でたお湯の鍋に放り込む。
綺麗な円をイメージしながら。