私魔法使いらしいので異世界救ってきます
私と紫苑が高身長イケメンさんに連れていかれたのは、王都一体を見渡せるベランダのような所だった。


みんなが私達に注目している。


紫苑は渡されたスピーカーを持って話し始めた。



「みなさん、お初に目にかかります。新しくこの国の王となった芦崎 紫苑です」



急な発表にみんながザワつく。



「私達はこの腐った国を変えようと思います。その為には頂点に立つ王がしっかりしないといけません。……前の国王はあっさりと国民を犠牲にしました。国でも何でもやるから、命だけは助けてくれってね」



泣いて崩れ落ちる人もいた。


信じてた国王にあっさりと見捨てられたんだもん、無理はないよね。


紫苑はそんな人達を見て優しく微笑んだ。



「私達は英雄と呼ばれた西澤 紗英と芦崎 雄二の子供です」



泣き崩れた人も、混乱してた人も、喋ってた人も、みんな無言になってこっちを見た。



「あの2人は1度は国を捨てました。ですが、故郷を救って欲しい。自分達はもう歳をとったからあなた達にお願いしたい。そう言って私達にこの世界の運命を託しました。なので私達はこの世界を変えます。昔のように人間と魔族の共存を目指し、一部の人間だけでなく、この世界の人達全てに平和で、平等な暮らしが出来るよう保証します。……私達についてきてくれますか?」



“おぉぉぉおー!!”



みんな笑顔だった。


絶望で泣いていた人達も、今度は笑顔で泣いていた。


きっと国王交代の話はあっという間に全世界に伝わるだろう。


奴隷として扱われている人達も幸せな生活が出来るように。


私達はお城の中に戻ったが、まだ新国王コールが止まなかった。



「あんだけ宣言したんだから、もうやるしかないよね?」



「あぁ。……って次はお前の番だからな」



「はいはい」



私達は世界を変えるために、大きな1歩を踏み出した。

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