私魔法使いらしいので異世界救ってきます
「ごめん、呼び出し。行かないと」



「はぁ……用が済んだら来いよ」



「うん、またね」



また来てもいいという事がすごく嬉しい。


今まではこんな事無かったのに恋ってすごい。


緩んだ頬を何とか元に戻し、紫苑に手を振って、転移しようとした時。



「愛凛」



「ん……っ!?」



突然腕を引っ張られ、気が付いた時には唇に温かい感触があった。


……キスされた?


顔にどんどん熱が集まっていくのが自分でもわかる。



「な、何して……」



「頑張れ」



「っ……言われなくても頑張ります!!」



「そこは素直に受け取っとけよ」



「うっさい!!」



余裕のある笑みが更に私の羞恥心を煽る。


何か私だけドキドキさせられっぱなしも癪なので、最後に仕掛けていくことにした。



「じゃあ、また後でね!」



「おいっ!!」



置き土産に水龍を置いてきた。


怒られないうちに急いで転移。


水龍は水だけで出来ているから、普通は触れたもの全てが濡れるんだけど、今回は魔力で表面をコーティングしてあるので、濡れない。


水龍が書類の山に突進してびちょびちょになると思いきや、ただ山が崩れて終わり、というある意味ドキドキするドッキリだ。


崩れるだけならそこまで説教されないだろう。


これでスッキリしたので、私は私のやることをやろう。

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