思いつき “ 超 ” 短編集



「今日誕生日だね、おめでと 」


目の前の女は、そう言って笑った。


優しい笑顔でもなく、つくった笑顔でもなく、ふにゃっとした笑顔で。



「ん、」


僕は素っ気なくしか返さない。


いや、返せない。



そんな僕の態度もお構い無しに彼女はまた言葉を投げてきた。


「それ、見ないの?」



彼女の言う「それ」とは、僕の隣の机に置かれた紙袋のことである。



「だって、断ったし。」


見ないよ、君の前では。




< 2 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop