思いつき “ 超 ” 短編集
「今日誕生日だね、おめでと 」
目の前の女は、そう言って笑った。
優しい笑顔でもなく、つくった笑顔でもなく、ふにゃっとした笑顔で。
「ん、」
僕は素っ気なくしか返さない。
いや、返せない。
そんな僕の態度もお構い無しに彼女はまた言葉を投げてきた。
「それ、見ないの?」
彼女の言う「それ」とは、僕の隣の机に置かれた紙袋のことである。
「だって、断ったし。」
見ないよ、君の前では。