イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
act.1 A fatal meeting. ―それは、運命の出会い―
・1・
麗らかな春の日差しと、心地の良い風と新緑の薫り。
はじまりの季節に新たな出逢いを求め、男性も女性も美しく格好よく、みな其々が思い思いにお洒落を楽しむ。
街をゆく女性たちは、パレットに載せた絵具のように鮮やかな服装で、男性たちの目を惹きつけている。
ひとり、またひとりと、花から花へと舞い移る蝶のような華やかさのなかにいて、明らかに蝶とは違う羽を有する飛行物体がひとり……
男性だけでなく女性からも、等しく視線を奪うであろう、その強烈なるインパクトの正体は――
(ふふふ。 今日は久々の大収穫だったな♪ あ~ 早く読みたいッ!)
ブラック、ネイビー、グレー。
およそ春とはほど遠い、装いを無視した野暮ったいコーディネート。
否、コーディネートなどと横文字で表現するのも憚れる、「寝間着ですか?」とお伺いをたてたくなる絶妙なるセンス。
襟首の伸びたカットソー、ジャケット代わりの学園指定ジャージ(上衣)に、足首の締まったスウェット(下衣)。
己の顔を見られたくないのか、長い前髪で面を隠し、腰まである漆黒の髪をひとつにまとめ、黒縁眼鏡(瓶底)で武装した、非常にインパクトのある少女。
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