イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

 それは、彼女の美貌に逆上せる男子たちと、男子の好意を一身に集めることに対し、女子たちが向ける激しく燃える業火の妬み、それと……彼女の性格である。

 碧羽は幼少の頃より、自分の感情や考えたことをオブラートに包むことなく、明け透けに言葉にしてしまう子であった。

 勿論、そんな裏表のない彼女の心に曇りはないのだが、それをダイレクトに伝えられる方はたまったものではない。

 よっぽど大きな――大海原のような器の持ち主でもなければ、初対面で其れをボジティブに転化できる輩は少ないのが現状である。

 冗談が通じず、融通のきかない碧羽が発する言霊は、いつしか彼女のルックスの良さに対しての憎しみと融合し、女子たちを敵に回すこととなったのである。

 けれども碧羽は、人一倍神経の太い持ち主でもある。少々のことでは動じることはない。

 なにを言ってもハブってみても、一向に折れることのない碧羽の心。業を煮やした女子たちの闘志に油を注いだのは、言うまでもない。

 そんな悪循環を繰り返しながら、碧羽が初等部高学年の砌、負の努力の賜物か……念願叶って女子たちの偉業が成し遂げられる、ひとつの出来事が起こったのである。
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