イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
「碧羽になんの用があるんです、安藤さん」
「訳は後よ、いいからついてらっしゃい」
それきり凛がいくら問おうと、安藤は口を閉ざしたまま先へと足を急ぐ。安藤の考えが掴めずに訝しむ凛ではあったが、取り敢えずは彼の後をついてゆくことにする。
「(おい……なんか胡散臭くねえか? いいのかよ、着いてって)」
「(ん~どうだろうね? まあでも、とにかく訳くらいは聞いて帰ろうよ)」
「(はあ!? なんか知んねえけど、あいつ碧羽のことすげえ目で見てたんだぞ、ヤベえって)」
「(なにかあれば、すぐに逃げればいいよ)」
歩きながらふたりは、安藤に聞こえないようコソコソと秘密の会議をする。碧羽に妙なマネをするときは、逃走を図ることではなしはまとまった。
不安そうに俯きながら後ろを歩く、碧羽を勇気づけるようと手をつないだ凜と漸は、彼女の耳もとでそっと囁いた。
「僕とずっと手をつないでいようね」
「俺の手を離すなよ」
たんに碧羽と手をつなぎたかっただけであった。
* * *
地上五階、地下一階のビル『atelier-TSUBAKI(アトリエ ツバキ)』。
安藤が碧羽たちを案内したのは、オフィス・フロアである五階の一室。ドアプレートには『office manager room(オフィス・マネージャー・ルーム)』とある。
「訳は後よ、いいからついてらっしゃい」
それきり凛がいくら問おうと、安藤は口を閉ざしたまま先へと足を急ぐ。安藤の考えが掴めずに訝しむ凛ではあったが、取り敢えずは彼の後をついてゆくことにする。
「(おい……なんか胡散臭くねえか? いいのかよ、着いてって)」
「(ん~どうだろうね? まあでも、とにかく訳くらいは聞いて帰ろうよ)」
「(はあ!? なんか知んねえけど、あいつ碧羽のことすげえ目で見てたんだぞ、ヤベえって)」
「(なにかあれば、すぐに逃げればいいよ)」
歩きながらふたりは、安藤に聞こえないようコソコソと秘密の会議をする。碧羽に妙なマネをするときは、逃走を図ることではなしはまとまった。
不安そうに俯きながら後ろを歩く、碧羽を勇気づけるようと手をつないだ凜と漸は、彼女の耳もとでそっと囁いた。
「僕とずっと手をつないでいようね」
「俺の手を離すなよ」
たんに碧羽と手をつなぎたかっただけであった。
* * *
地上五階、地下一階のビル『atelier-TSUBAKI(アトリエ ツバキ)』。
安藤が碧羽たちを案内したのは、オフィス・フロアである五階の一室。ドアプレートには『office manager room(オフィス・マネージャー・ルーム)』とある。