イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
「さあ、入りなさい」
「……失礼します」
「……っす」
安藤が開いたドアを先ずはじめに凛が進み、つぎに怯える碧羽を庇うようにして、漸が彼女とともに入室した。
碧羽と双子が入室するのを見届け、安藤も後ろ手にドアを閉めながら部屋へと入る。
「もうひとりお客さんが来るのよ。そろそろ来ると思うから、ソファに腰掛けて待っててちょうだい」
どうやら呼ばれたのは、碧羽たちだけではないようだ。
凜と漸は碧羽を挟むようにして、ベンチソファへと腰を下ろした。安藤の勿体ぶった態度が気になる凛は、怪訝に思いながらも目的はなにかと彼に問う。
「そろそろ訳をはなしてもらえませんか? 安藤さん。僕たちに用があるのは理解できますが、なぜ碧羽まで呼ばれる必要があるんです」
「もう。この子ったら、せっかちなんだから。そんなじゃ、女の子にモテないわよ? って、その顔でタラシ込んでんだから、モテないわけないわね。それに、これから来る子だって……」
そこまで言って、安藤は口に手を当てながら「あら、いやだ。これ以上はオアズケよ」と、意味あり気なことを平然と嘯(うそぶ)く。
「お口にチャック」などと、指で閉める真似をしてみせる安藤の態度に、得も言われぬ嫌な予感を感じる凛。そしてその予感は、見事的中するのであった。