イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
『お疲れさまでーす! 安藤さん、いますか~? hacchi(ハッチ)です』
ドアがノックされ、廊下から高揚とした女性の挨拶が聞こえる。
hacchiと名乗る玲瓏(れいろう)なる声の主は、返答を待たずして部屋へと飛び込んできた。
「すでにお邪魔してま――……すって、なんだ安藤さん、いてたんなら返事してよ」
様々な意味でバイタリティーに富んだ彼女が、安藤を見るなりひとりでつっ込んだ。
つかつかとソファの許へと歩み寄るhacchi嬢は、安藤以外目に入っていない。
「返事するまえに、あなたが入ってきたんでしょうが。まったくこの子ったら……いつまで経ってもおてんばなんだから。そろそろ淑やかになったって、バチなんて当たらないでしょうに」
安藤は小姑よろしく「そんな賑やかに入室してくる子なんて、あなたくらいだわよ」と、俯き加減で額に手を当てやれやれと、呆れながらもまだブチブチお小言をつづける。
「も~~~アンディーのお小言は耳にタコです! そんな口うるさくしてると、売れ残っちゃいますよ? それより私に用ってなんですか?」
「まあ~失礼ねッ! 残念でした、あたしはもう売約済みよ」