イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
先程までの態度から一転、通常仕様である鷹揚とした態度に戻った凛が、hacchi嬢に連れない挨拶をする。
胡散臭い笑みを浮かべてはいるが、けれど心なしか目が笑ってはいない。
「もう~~~せっかく再開したってのに、もっと嬉しそうなリアクションしてよ。ほんと……あの頃とちっとも変わってないんだから。まあいいわ。私ね、拠点を日本に移したの」
間髪入れずにhacchi嬢が不満を漏らす。当然ではあるが、愛らしい相貌はむくれたままだ。
凛の挨拶に気分を害し憤怒するかと思えば、すぐさま気持ちを切り替え凜の問いに答える。
「……そうなんだ、驚いたよ。それで、なぜここへ?」
「先月ね、凛のママからオファーがあったの。『うちで働いてみないか』って。もともと向こうの世界(モデル業界)にも飽きてたとこだったし、タイミングは良かったの。それで荷物まとめて引っ越してきちゃった」
淡々と語る口調は楽天的ではあるが、そんな大事なことを一も二もなく決めてしまって良いものか。
凛は我が母と、突飛すぎるhacchi嬢の行動力に、心中呆れ返るのであった。
しかしこのふたり、気安い仲なのであろうか、先程から知己的(ちきてき)な何かを感じて止まない。