イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
どうやら彼女は、漸が凛と瓜二つであるのが楽しくて仕方がないらしい。
一卵性双生児なのだから似ていて当然だと喉許まで出かかった漸は、好奇心過多であろう彼女の琴線へむやみに触れて、益々テンションが上昇することを懸念し、慌てて其れを飲み込んだ。
始終にこやかなる笑顔のhacchi嬢は、双子を何度も見比べては瞳を輝かせている。
「ああ、名前? それは私の父が日本人だからよ」
「いや……聞いてねえけど」
漸のそばまで歩みを寄せたhacchi嬢は、突然自ら生い立ちを語り出した。
狼狽える漸など歯牙にもかけずに、彼女は更に二の句をつづける。凛はやれやれと、手で額を覆いシュラッグする。
「あのね、父は日本の東京で生まれたの。証券会社に勤務してて、転勤でニューヨークに渡米した際に、モデルをしていた母と出逢ったのよ」
彼女は両親の出逢いと馴れ初め、証券マンとしての父の有望さ、且つ又モデルとしての母親がどれほどうつくしく素晴らしいかを、順を追って詳しくはなして聞かせるのであった。