イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
「やだ、もう。アンディーったら邪魔しないでくれる? せっかく碧羽ちゃんとイチャイチャしてたのに。空気読まないお兄ちゃんよねえ。ねえ、碧羽ちゃん」
hacchi嬢は碧羽に檄を飛ばしつつ、「あれ? お姉ちゃんだっけ」などと安藤のジェンダー表現に疑問を抱く。
碧羽は悩む彼女を見ながら『天然なのかな』と、自身を顧みず失礼なことを考えた。
弄ばれる碧羽をhacchi嬢から助け出したいが、オーラ的な何かに阻まれ近づくことも敵わない漸は、癪ではあるが安藤の横槍に助けられ安堵する。凛は依然としてしょっぱい顔のままだった。
野暮天呼ばわりをされた安藤は、心外だと言わんばかりに再度ヤケクソな合掌して、失礼な輩共の注目を集める。
「こちとら時間巻いてんだよ、チンタラしてんじゃねえぞッ! さっさと注目しろや」
安藤から放たれた、野太く恫喝的(どうかつてき)な科白。
意外すぎる一面を披露するアンディーに、碧羽たちは仰天する。然しもの凛とhacchi嬢も呆けている模様。
「……そうそう、そうやって素直に静聴してくれれば、わたしだって怒らないで済んだのよ。さあ碧羽ちゃん、こっちいらっしゃい」
碧羽をロックオンした安藤は、チョイチョイと手で『こっちさ来い』のジェスチャーをして、固まる碧羽を我が許へと招き寄せる。
見えない力が働いて、碧羽は操られるように彼の許へと歩いてゆく。