イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

「あの……あれ? わたし、いったい」

「ああ、わたしが呼んだのよ。さあ、ここへ座って。わたしが今から発表することに、碧羽ちゃんはただ『はい』と答えていればいいからね、わかった?」

「……はい、?」

「よろしい」

 どうやら安藤が放つ微妙な何かに、無意識化で操られていた碧羽。

 催眠術から解き放たれた子羊が如く、碧羽は自身が置かれた状況に狼狽して――……そして唯々諾々とアンディーの手中へと自ら落ちた。

「って、おいおいおいッ! んな訳あるか。ほら碧羽、帰ってこい」

 透かさず漸はつっ込みを入れて、手を差し伸べ碧羽を連れ戻そうとする。けれども漸は、安藤のそばには近寄れない。

 奇妙な何かが其れを阻み、良識ある男を拒むのだ。

「そんな訳ないじゃない。とうとうわたしにまで、謂れのないナレーションが入り出したわ。急がなくちゃね。それでは発表します――」

 ドラムロールでも聞こえくるような雰囲気ではあるが、実際にそんなこと起こるはずもなかった。

 固唾を呑む漸と、出番が少なくてイジける凛と、前屈運動しながら時間の無駄を省くhacchi嬢。

 そして展開について行けず成り行きを見守る碧羽が、揃って安藤の発表に耳を傾けるのであった。
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