イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
「はーい、いいかしら。一度しか言わないからよく聴いておいて頂戴。ここにいます碧羽ちゃん。この度、我が『atelier-TSUBAKI』のモデルとして、華々しくデビューすることが決まりました」
「ああ゛ッ!?」
「ええッ!?」
安藤の爆弾発言に、双子は揃ってナイスなリアクションをかます。hacchi嬢は、ブリッジなポージングのまま目を輝かせている。碧羽当人はというと……
「え、わたし? へえ、すごいんだねえ。でも、いつ決まったの?」
……非常に薄いリアクションで、安藤をガッカリさせていた。
「今日よ、今日。わたしね、あなたを見て『コレだー!』って思ったの。なんて言ったらいいかしら、神の啓示ったら大袈裟だけど、長年OMやってるわたしの勘が訴えてきたのよ」
「この子は売れる―――ッ!」――などと、サッカー選手よろしく祈りのポーズで、己の直感を最大限に感謝する、安藤 一誠(あんどう かずなり)御年三十六歳、秋も終わりの出来事だ。
これには双子が黙ってはいなかった。みるみると漸の顔は険しくなり、凛は出番が回ってきたと言わんばかりに碧羽のまえへと立ちはだかった。