イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
対して凛が着こなすボーイズライン・クローズは、『堕天使の黒翼』をイメージしたクールなデザインで、カッコ可愛さを前面に押し出している。
少し幼さを残しつつ、それでも大人の階(きざはし)へと駆け上がろうとするティーンエイジャー。
しなやかであるなかに危うさを湛えた世代へ、『L'aile de l'ange』は存在する。
因みに当ブランドのキャッチコピーは『“Girls, & Boys, be ambitious!”(ガールズ&ボーイズ・ビー・アンビシャス)』。ひどく抽象的かつ、ダサいネーミングセンスであった。
「ほら碧羽、もっと腕を広げてごらん。僕がぜんぶ拭いてあげるからね」
先ほどから凛が碧羽の柔肌を、甲斐甲斐しくもハンカチで拭ってやっている。が、やたらと胸元あたりに集中しているのは、気のせいであろうか。
「うん、ありがとう。これでいい?」
けれども碧羽は嬉しそうに笑って、凛に身を預けていた。まるで幼い頃に戻ったみたいだと、碧羽は少しくすぐったい気持ちになったのかも知れない。
だが奇しくも相手は凛だ、「ああ、いいねえ♪ じゃあ僕が満足するまで、下ろしちゃダメだよ」などと、調子に乗るに決まっていた。
「なにを満足するってんだ、このクソ悪魔野郎ッ!」