イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。
「聞いてよ! それがさ、さっきビルのエントランスで最悪な女に捉まったの。はじめ『誰、私のファン?』なんて思ったの。
でもそうじゃなくてさ、凛に用があるって言うじゃない? 用があるなら私が――」
「ちょっと……ちょっと待ってよ。桂花ちゃん落ち着いて、ね?」
hacchi嬢に迫力負けする碧羽は、彼女のマシンガン・トークに若干ビビりつつ、一度落着けと要求する。
「わかった、落ち着く」と、彼女は碧羽から離れて深呼吸をしはじめた。
しかしよく見ると、彼女の口周りは先ほど貪り喰らいついていた、ドーナツの溶けたチョコフリンクルまみれではないか。
碧羽は恐るおそるhacchi嬢の手を見てみると、やはり同じく溶けたチョコの痕跡が……ということは、今着ているドレスの背中は――……
これは後でアンディーに公開処刑にされるかもと、心のなかで泣いて小さなため息をついた。
「それで……桂花ちゃんは、その女の子に何をされたの? イジメられたりした?」
まさか――彼女に限ってイジメなどと……それは無かろうがと、高を括りつつ口にした碧羽ではあったが……。
「そう! イジメよ、あれは。ひどいったらないの!! ねえ、聞いて~~~」
そして、やはりふり出しに戻るのであった。