イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

 双子の画策をよそに、またしてもココに蠢く……いや、正確には蠢いているのは、大量に積まれた本の山で……

「う゛~ん……ぐ、ぐ…る…ぢ…い…だ、だれか~たすけ……」

 あ、力尽きた。

 本に埋もれるようにして、中から助けを乞うているのは、双子たちの姫こと佐久良 碧羽(さくら あおは)である。

 だが……何故? このようなマヌケ……悲惨な事態に陥っているのかと言うと、それは聞くも泪語るも泪の壮大なる――

「ちょっと~~~そんな話いいから早く助けてよ―――ッ!」

 それは土台無理な話である。

 この状況を作ったのは他でもない、碧羽自身であり、碧羽の趣味の部により発生した、因果応報……必然的な流れであった。

 碧羽の自室には書架がふたつあり、ひとつには勉強に必要な参考書や辞典などが納められている。

 かたやもうひとつの書架はと言うと……すべからく腐となるBLの祭典……碧羽の宝であるボーイズラブのコミック本が、作者別に並べられていた。

 しかも、すべてコンプリート済みであるのが、地味に笑いを誘う。

 それらコミック本は、碧羽が自室ですぐに手に取れるよう、インフィニティな作品群のなかでも厳選した、碧羽が特に気に入っているものばかりが納められている。

 それ以外のコミック本は、自室の隣にある部屋をBL専用ライブラリーにして、収納しているのである。

 BLライブラリーには、二方の壁面に書架が三つずつ並べられ、部屋中央にも両合わせの書架が三列連なっている。
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