イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

 十二の書架に行儀良く並べられたBLコミック本。

 だが碧羽がコレクションするコミック本は、それだけでは納まらない。

 なんと碧羽は、納めきれない残り数多なコミック本を、ウォークインクローゼットにも詰め込んでいたのである。呆れたことに、その書籍数は数百にのぼる。

 祝日である今日は、それらウォークインクローゼットに押し込めてある、コレクション外のコミック本やBL小説を整理するために、朝から奮闘していたのである。

 なにせ碧羽は、ただ今独り暮らしといっても過言ではなく、よって男手もなければスケッターもいないという、非常に憐憫極まりのないボッチ少女なのである。

 このブックストア顔負けである品揃えは、碧羽が腐に染まるきっかけとなった、一冊のBL本と出会った高等部一年の頃よりカウントがはじまり、今も確実にその数を更新中である。

 現在碧羽は高等部二年の半ばだが、それにしてもこの書籍数の凄まじさは如何なものか。

 呆れを通り越し、よくぞここまで増やし貫いたと、その心意気を称賛してやりたい次第である。

 ともあれ碧羽は、さすがにここまで来ると『少しは減らしたほうがイイかな? エヘ』などと、夏頃から考えていたのである。
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